2011年5月20日金曜日

「うぐいすだにミュージックホール」のキャンペーン

「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ。本日は当劇場にお越し下さいまして、まことにありがとうございます。紳士の社交場、娯楽の殿堂、うぐいすだにミュージックホール、本日の特別ゲストは錦糸町フランス座よりお招きいたしましたカモメのケーコ、カモメのヨーコ、お二方が演じます大レスビアンショーでございます。快楽の神秘、悦楽の境地を心ゆくまでお楽しみくださいませ。

なお、上演に先駆けまして、お客様にひとことお断り申し上げます。場内での写真撮影、ならびに踊り子さんの衣装、お肌には絶対にお手を触れることなきよう固く、固くお断り申し上げます。

それでは、トップバッターから、張り切ってまいりましょう。レッツゴーミュージック!」

こんなストリップ劇場の場内アナウンスで始まる「うぐいすだにミュージックホール」は、本同様、大ヒットしました。



このレコードのキャンペーンと本のサイン会を兼ねて、名古屋と大阪に行きました。
オールナイトニッポンの放送終わりで新幹線に乗って、名古屋に到着。
ホテルにチェックインして休んでいると、書店の担当者から電話が入りました。

「すぐ、来てください。大変なことになっています」

なんでも100人以上の子供たちが集まっていて、収拾がつかないと言うのです。

鶴光さん、ニッポン放送の鈴木ディレクター、PMPの及川伸一さん、そして僕の4人は、あわてて栄地下街にある書店へ急行しました。

驚きましたね。書店のシャッターが閉まっていて、その前にたくさんの人、人、人です。
書店の人が言うには、店内に入った人が多すぎて、パニック状態だったらしい。仕方なく、全員に外へ出てもらったというのです。

ここで活躍したのが、鈴木ディレクター。
シャッターの前に集まっている子供たちに「10人ずつ並んで! いいね。順番に中へ入るからね。はい、さっさと並んで!」と声をかけ、完璧な仕切りです。

前代未聞のサイン会となりましたが、一難さってまた一難です。今度は、昼からの公開番組の会場がパニックになっているとの連絡が!

駅前にあるビルの1階での公開生放送に、鶴光さんがゲストで出演するので、またまた子供たちが殺到! 

このとき、鈴木ディレクターと及川さん、僕の3人は、改めて鶴光さんの人気のすごさを実感しました。

本もレコードも売れるわけです。大人たちは知らないだけで、オールナイトを聞いている子供たちの間では、鶴光を聞かずば週末は終わらない、という感じだったのでしょうね。ただし、ファンは圧倒的に、悪ガキの男の子でした。

名古屋のストリップ劇場、たしか銀映ミュージックという劇場だったと思うのですが、よく覚えているものです、自分でも驚きです。
ここに名古屋のマスコミの人たちを集め、鶴光さんがステージで「うぐいすだにミュージックホール」とB面の「ももえちゃん」を大熱唱! 僕ら3人もバックコーラスで参加。

恥ずかしかったですね、これは。でも、NOとは言えません。編集者とはいえ、自分で作った本は宣伝マンも兼ねるのが、弱小出版社の通例です。

この後、大阪のストリップ劇場でもキャンペーンをやったのですが、このときは劇場の入り口でマスコミの人と劇場関係者の人がもめてしまい、これも大変でした。

時間より少し早く来たマスコミの人が、大きな顔をして劇場に入ってきたのです。
と、そこへ劇場関係者のちょっと怖そうなお兄さんが「どこ行くんだよ。勝手に入るな」と声を荒げたのです。
いまにもつかみ合いになる寸前、レコード会社の人が間に入って、なんとか事なきをえたのですが、周りにいた僕たちは一瞬、目が点になり、固まってしまいました。


強行スケジュールのキャンペーンも無事終わり、この日は大阪に泊まったのかなあ。お風呂に行って、汗を流したんだと思います。鈴木、及川、梶原の3人は。
あっ、背中一面に入れ墨をしている女性と会ったのは、このときだったのかしら。よく覚えていません。

HAPPY DAYSには、人知れぬ苦しさもあり、それだからこそ、うまくいったときの楽しさが倍増するのかもしれません。

いま、ブレッド&バターという結成42年になる兄弟デュオの「伝説のカフェ ブレッド&バター」という本を作っていますが、彼らはこのとき、湘南の茅ヶ崎で、そのCafe Bread & Butterを始めようとしていたのですから、人生の不思議さを感じてしまいます。

どちらも、青春のHAPPY DAYSなのでしょうが、僕らはストリップ劇場でキャンペーン、ブレバタの2人はカフェをオープン……なんだか違うHAPPY DAYSのような気がしてしまうのは、ひがみでしょうかね。 

ノアズブックス 編集長 HIDEO K.

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